茶道歳時記 3月(弥生)

3月(弥生)


異 名 弥生 季春 建辰月 桜月 早花咲月 花見月 春惜月 夢見月


時 候 春分 早春 浅春 春色 軽暖 雪解け 春雨


茶 趣 透木釜 釣釜 二月堂お水取り 大師会


行 事 雛祭(上巳) 卒業式 彼岸会 利休忌


床飾り 雛段飾り 流し雛 利休像


掛 物 謝茶 拈華微笑 花見半開   柳緑花紅    風暖鳥声砕山家春色佳  春色無高下  

春水満四沢  桃花千年春 池塘春草生  桃花笑春風  桃花綻春風   桃花映水紅  

開太平春  花開天下春   花開万国春   春至自花開  春来草自生  修六度万行 

一花開天下春  李花白桃花紅 春風得意馬蹄疾   春風春水一時来   

桃花似錦柳如烟桃花依旧笑春風  桃花流水杳然去  

百花春到為誰開桃李不言下自成蹊   李花飛来飛去落誰家 

君看此花枝中有風露香  桃紅復含宿雨柳緑更帯春煙


花 木 木通 岩鏡 雲竜柳 片栗 木五倍子 黒文字 山茱萸 幣辛夷

春蘭 白蘇芳 椿(明石潟 胡蝶侘助 こんろん 白角倉 袖隠 玉手箱

初嵐 紅妙満寺 藪椿 侘助 椿各種) 土佐水木 菜の花 庭梅 接骨木 貝母 花筏 

白木蓮 榛 緋寒桜 日向水木 振袖柳 木瓜 万作 三椏 虫刈 桃 八つ手花笠 

山藍 山桜 雪柳 雪割草 利休梅 連翹


花 入 鼓形 古銅桃底 信楽旅枕


香 合 染付横唄 貝合 月日貝 扇 桃 菱 鼓 雛 荘子(蝶)


透木 釣(車軸 鶴首 棗 雲龍) 乙御前 九輪 色紙 遠山 柳地紋 源氏香地紋 鉦鼓鐶付 貝鐶付


炉 縁 楽器蒔絵 浜松蒔絵 海松浪蒔絵


爪紅台子 徒然棚 山雲棚 八千代棚 誰ヶ袖棚 吉野棚 蛤卓 三重棚


水 指 菱馬 菱形 桃形 桃図 五節句図 蕨図


茶 器 柳桜棗 柳橋棗 雛棗 春野棗 海松貝棗 白粉解棗 楽器棗

霞棗 西王母棗 折撓柳棗 春草棗 春草蒔絵 柳図 土筆図 


茶 碗 金銀菱重 桃形 花菱図 雲錦図 朧月図 雛図 春草図 貝図


蓋 置 鼓 雪洞 栄螺 三人形 五徳


主菓子 おぼろ饅頭 西王母 蝶 丁字餅 菜種金団 花衣 春の野金団 菱餅 引千切 

春の山路 蓬饅頭 蓬餅 若草金団 若菜上用 蕨饅頭 蕨餅

 

干菓子 青丹よし 貝尽し 曲水 胡蝶 早蕨 すみれ 玉煎餅 蝶結び 

土筆 菱餅 雛あられ 二人静 蕨 

 

主菓子器 花鳥蒔絵朱縁高 朱網目食籠

 

干菓子器 菱盆 糸目盆 渦文高杯


銘・
季語 青柳 乙女 音羽山 朧 朧月 面影 貝寄風 霞 霞衣 玉琴 

曲水 五人囃子 西王母 佐保姫 早蕨 下萌 春山 春光 春日

春色 誰袖 種まく 遠霞 菜種梅雨 涅槃西風 野遊 長閑

羽衣 初筏 花兎 春霞 春風 春草 春駒 春雨 春の野 

春の土 春の水 春の山 春の雪 春の炉 春めく 雛鶴 雪洞 三千歳 都の春 熊野 若草 若菜 若緑 


古 歌

春の野の花を種々つまむとて さもかたみをも作りつるかな  柿本人麿(『柿本集』)

岩そそぐたるひの上の早蕨の 萌えいづる春になりにけるかな  志貴皇子(『古今和歌六帖』)

あくがるる心の花も移ろへば 野辺こそ春の宿りなりけれ  藤原為家(『夫木和歌抄』)

花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに  小野小町(『古今集』)

あすよりは春菜摘まむと標めし野に きのふもけふも雪は降りつつ 山部赤人(『万葉集』巻八 春雑)

春日野の下萌えわたる草のうへに つれなく見ゆる春のあわ雪  源 国信(『新古今集』巻一 春上)

 

透木釜……気温が上がるにつれ、炉の熱気が不快に感じられるようになる。そのため、扁平で羽のある釜で炉壇を覆い、客から火を遠ざけるようにする。


釣釜……炉の季節の終わりに用いられる。天井から鎖をつるしてその先に釜を掛ける。利休忌……表千家では3月27日に、裏千家では28日に催される。また、大徳寺塔頭聚光院でも、毎月28日に釜が懸かる。


雛祭……五節句の一つで、女児のいる家では雛人形を飾る。雛祭の茶は、陽春の訪れを告げる華やいだ茶会で、時には子ども達もまじえて催される。


大師会……「西の光悦会、東の大師会」と並び称される大茶会であり、二大茶会の一つ。3月末頃に催される。