茶道歳時記 10月(神無月)

10月(神無月)

異名 神無月 孟冬 建亥月 鏡祭月 小春月 時雨月 初霜月

時候 仲秋 清秋 錦秋 秋容 秋冷 秋晴 菊花 紅葉 夜長

茶趣 衣更え・更衣 風炉の名残 中置  行事 秋祭り 稲刈り 十三夜 大徳寺曝凉 

 掛物

清風明月(せいふうめいげつ)露衣風心(ろえふうしん) 一粒万々倍(いちりゅうまんまんばい)風送鐘声来(かぜしょうせいをおくりきたる) 閑坐聴松風(かんざしてしょうふうをきく) 菊花令人寿(きくかはひとをしてじゅせしむ)採菊東籬下(きくをとうりのもとにとる) 金風吹玉管(きんぷうぎょっかんをふく)紅葉舞秋風(こうようあきかぜにまう) 玉露滴清秋(ぎょくろせいしゅうをしたたらす)昨夜一声雁(さくやいっせいのかり) 山雲海月情(さんうんかいげつのじょう)山色夕陽時(さんしょくせきようのとき) 経霜紅葉清(しもをへてこうようきよし)秋菊有佳色(しゅうぎくかしょくあり) 松菊万年歓(しょうぎくまんねんのよろこび)秋声満万里(しゅうせいばんりにみつ) 秋風吹不尽(しゅうふうふいてつきず)秋露白如玉(しゅうろしろきことたまのごとし) 松菊万年歓(しょうきくばんねんのよろこび) 松老雲自閑(まつおいてくもおのずからしずか)深雲古寺鐘(しんうんこじのかね) 清秋竹露深(せいしゅうちくろふかし)清霜紅碧樹(せいそうこうへきのじゅ)   清風万里秋(せいふうばんりのあき)千紫万紅動(せんしばんこうをうごかす) 千里一望秋(せんりいちぼうのあき)月知天下秋(つきはてんかのあきをしる) 天高秋月明(てんたかくしゅうげつあきらか)白馬入蘆花(はくばろかにいる) 山高月上遅(やまたかくしてつきのぼることおそし) 流水寒山路(りゅうすいかんざんのみち) 吾心似秋月(わがこころしゅうげつににたり)和気兆豊年(わきほうねんをきざす) 宝樹多華果(ほうじゅけかおおし)江月照松風吹(こうげつてらししょうふうふく) 月在青天水在瓶(つきはせいてんにあってみずはへいにあり) 秋亦無心在菊花(あきまたむしんにしてきくかにあり) 雨過夜塘秋水深(あめすぎてやとうしゅうすいふかし) 一葉落知天下秋(いちようおちててんかのあきをしる) 一葉翻空天下秋 (いちようくうにひるがえるてんかのあき) 渓辺箒葉夕陽僧(けいへんにはをはくせきようのそう) 秋水共長天一色(しゅうすいちょうてんとともにいっしき) 月明水清秋天浄(つきあかるくみずきよくしてしゅうてんきよらかなり) 落日楼台一笛風(らくじつろうだいいってきのかぜ) 秋風淅々秋水冷々(しゅうふうせきせきしゅうすいれいれい) 一片月生海幾家人上楼(いっぺんのつきうみにしょうじいくかのひとろうにのぼる)

 花木

秋桐 秋丁字 秋の麒麟草(あきのきりんそう) 葦(あし) 磯菊 梅擬(うめもどき) 瓜肌楓 朮(おけら)  雄山火口(おやまぼくち)烏瓜 雁草(かりがねそう) 菊各種  菊渓菊(きくたにぎく) 高野箒(こうやぼうき) 紺菊 嵯峨菊(さがぎく) 桜蓼 実葛(さねかずら) 山査子(さんざし) 秋明菊(貴船菊) 上臈杜鵑草(じょうろうほととぎす) 蓼(たで) 玉川ほととぎす 茶 釣鐘人参 吊花 蔓りんどう 七竈(ななかまど) 新高杜鵑草 錦木 野紺菊 野路菊 白山木 浜菊 節黒仙翁 藤袴(ふじばかま) 紫式部 山薊(やまあざみ) 山芍薬の実 山葡萄(やまぶどう) 嫁菜  竜脳菊 竜胆(りんどう)

花入

古銅「杵の折」写 砧(きぬた)青磁写 旅枕 あけび籠 蓑虫籠(みのむし) 鉈(なた)籠手付籠 虫籠

香合

小瓢 筆柿 鳴子 砧 ふくら雀 蔦(つた)紅葉 龍田川 橙 苫屋(とまや) 俵 栗 菊重 菊置上 雁図 赤楽柿 

透木 苫屋 焼飯 菊霰(あられ)真形 雲龍八景 遠山 鹿地紋 菊地紋  霰欠 束柴(たばねしば) 雲龍

風 炉

紅鉢 鉄欠(やつれ)道安土 板 鉄道安

山雲棚 行雲棚 五行棚 秋泉棚 寒雲卓 大板 

水指

落雁細 高取管耳細 紅毛(おらんだ)細 紅毛莨葉 束柴(たばねしば) 染付葡萄(ぶどう)棚 備前種壺 南蛮焼締 丹波 古備前細

茶入

芋子 (丹波・備前・信楽などの焼締のもの)

茶器

秋の夜棗 山里棗 蔦の細道棗 稲穂図俵棗 徳風棗 五葉棗  菊大棗 紅葉棗 高台寺棗 金輪寺茶器 吹寄蒔絵 

茶碗

紅葉呉器 柿の蔕(へた) 赤楽「木守」写 俵形 菊図 紅葉図  疵(きず)・呼び継ぎのもの

蓋置

束柴 銀杏(いちょう)透 夜学 一閑人 半枯竹 鎹(かすがい)竹 つくね

建水

毛織菊彫 南蛮

主菓子

秋の色 秋の野 秋の山 秋の山路 銀杏餅 薄紅葉 鶉餅(うずらもち) 乙女菊 唐錦 雁来紅(がんらいこう) 着せ綿 栗金団 栗羊羹 秋明菊 龍田姫 龍田餅  鳴子 初雁羹 穂波(ほなみ) 巻柿 万寿菊 実りの秋 村時雨(むらしぐれ) 山土産(やまづと)

干菓子

銀杏煎餅 稲穂落雁 稲穂煎餅 通い路 菊寿糖 菊の葉 栗落雁 栗こごり 小菊 白菊 雀 照葉 鳴子 福俵 吹寄 紅葉 雁の月 初雁煎餅 焼栗  

主菓子器

雲錦鉢 備前火襷(ひだすき)鉢 春慶塗縁高 絵唐津鉢

干菓子器

翁盆 菊溜塗盆 籠地四方盆

銘・季語

秋風 秋晴 秋の声 秋日和 秋の空 秋の山 秋の夕焼  銀杏散る 薄紅葉 浦里 雲錦 小倉山 唐錦 雁が音 雁鳴く  菊日和 木守 錦秋 小柴垣 里神楽 山家 残菊 山景 鴫立沢(しぎたつさわ) 柴の戸 柴舟 秋色 白菊 龍田川 龍田姫 照葉 苫屋 鳴子 二季鳥 野々宮  野山の錦 初雁 初紅葉 晩鐘 松風 実り 深山路(みやまじ) 紅葉狩 山里 山路 山土産 夜寒 侘の友

古歌

ほのぼのと明石の浦の朝露に 島かくれゆく舟をしぞ思ふ 詠み人しらず(一説 柿本人麿・古今集』巻九 羈旅) 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり 能因(『後拾遺集』巻五 秋下) 月影も思ひあらばともりそめて 葎(むぐら)の宿に秋は来にけり 藤原俊成女(『万代集』巻四 秋上) 龍田姫手向くる神のあればこそ 秋の木の葉の幣(ぬさ)と散るらめ 兼覧王(『古今集』巻五 秋下) 経(たて)もなく緯(ぬき)も定めず娘子(おとめ)らが 織れる黄葉(もみじ)に霜な降りそね 大津皇子(『万葉集』巻八 秋雑)

衣更え・更衣……9月は単(ひとえ) だった着物を10月1日から袷に替える。和装小物も 合わせて秋物に移行。ただし昨今の気候変動もあり強い縛りはない。

風炉の名残……10月を限りとして、風炉を炉に改める。それを惜しむ心から、名残りの茶が催される。

十三夜……後の月。芋名月に対して栗名月といい、月見の行事を行う。

大徳寺曝凉……毎年10月の第2日曜に本坊を会場に行われる、虫干しを兼ねた寺宝の一般公開。